この記事では初めてオンラインセッションでGM(ゲームマスター)をすることになった人に向けて、準備することや当日までの流れなどを解説していきます。
GMはPLとはまた違った面白さがあるので、ぜひチャレンジしてみてください!
準備編① システム~シナリオの準備
遊ぶTPRGを決めよう
まずはどのTRPGのシステムで遊ぶのかを決めます。
もし特に遊びたいものが決まっていない場合は、以下を参考に決めるのがオススメです。
- 自分がPL(プレイヤー)として遊んだことがあるシステム
- 自分は初めてでも、メンバーの中で遊んだことがある人がいるシステム
自分がPLとして遊んだことがあればルールや進行がある程度イメージできますし、PLが考えそうなことも想像しやすいので準備がスムーズです。
シナリオを決めよう
遊ぶシステムを決めたら、次はシナリオを決めます。
シナリオはルールブック付属のものや出版社が発行しているシナリオ集のほか、有志の方による二次創作のものもたくさんあります。
もし遊びたいシナリオが決まっていない場合は、以下のどれかに当てはまる作品を探すのがオススメです。
- プレイ時間が短め(1~2時間程度)のもの
- PL人数が2~3人のもの
- 世界観が「現代日本」に近いもの。または世界観を気にしなくていいもの
- 特殊な仕掛けの少ないシンプルなもの
- PLとして遊んだことがあるもの
- ルールブック付属のシナリオ

これはあくまでシナリオ探しのヒントだよ。
一つも合わなくてもそれが遊びたいシナリオならOK!
プレイ時間が短め(1~2時間程)のもの
最初は短めのシナリオがオススメです。
参加者が不慣れな内はGMが何度もルールを確認したり、PLに説明をすることも多く、シナリオ記載の時間より長くかかる傾向があります。
慣れないことに長時間頭を使うと疲れてきてしまうので、1~2時間くらいをめやすにするといいでしょう。
PL人数が2~3人のもの
PL人数が多いと、PC(プレイヤーキャラクター)との会話や質問への受け答えなど、GMが対応に忙しくなってきます。
最初は人数を押さえた方が落ち着いてセッションを進められるでしょう。
また、シナリオの中にはGM1名、PL1名という組み合わせの形式もあります。

1対1のシナリオには「ソロシナリオ」や「タイマンシナリオ」と
呼ばれる類のものがあるよ
こちらはGMがルールを確認したり、処理について考えている間にPLが一人で待機することになりがちです。
もしその状況が気になる場合は、PL同士で会話してもらえるように2人以上のシナリオを選ぶのがオススメです。
世界観が「現代日本」に近いもの。または世界観を気にしなくていいもの
特殊な世界観のシナリオの場合、GMがPLへ舞台設定の説明をする必要があります。
その分GMが事前に把握しておくことが増えてきます。
TRPGによってはしっかり舞台設定が決まっているものもありますが、そうではないシステムの場合はなじみ深い世界観のシナリオがオススメです。
特殊な仕掛けの少ないシンプルなもの
ルールブックにはない独自のルールや秘匿ハンドアウトなどが登場するシナリオは、不慣れなうちは少し持てあますかもしれません。
管理に自信がなかったら、ギミックの少ないシンプルなシナリオを選ぶといいでしょう。
他のPLには伏せられた情報。
キャラクターの隠された使命や設定などが書かれており、渡されたPLはその内容にそった行動をとることになる。
PLとして遊んだことがあるもの
PLとして遊んだことのあるシナリオは、とてもGMがしやすいです。
なぜならPLの時に感じた疑問や感情などの経験がある分、どこでPLが悩みそうか?どういう行動をしそうか?といった予測が立てやすいからです。

あのシナリオすごく面白かったから、
他の人にも遊んでもらいたいな!
ルールブック付属のシナリオ
ルールブックに付属しているシナリオは、チュートリアルとして分かりやすくシンプルな内容になっているケースがほとんどです。
特に近年リリースされたTRPGはオンラインセッションも想定した内容になっていることも多く、最初に遊ぶにはぴったりなシナリオです。
シナリオを読み込もう

遊ぶシナリオを読みはしたけど、読んだだけで大丈夫かな?

GMをするための読み方は、普通の読書とは少し違うかも
初めてGMをするときは、シナリオをどういう風に読んで準備すればいいか悩む人もいるかと思います。
慣れてくると自分のやりやすい準備の仕方が固まってきますが、ここではまだ自分のスタイルが確立していない人に向けてシナリオの読み込み方をご提案します。
大きく3ステップに分けて読んでいきます。
- 読者として物語を楽しんで読む
- 内容に質問やツッコミを入れながら読む
- PLになったつもりで浮かんだ疑問や感情をチェックしながら読む
STEP.1 読者として物語を楽しんで読む
まずは難しいことを考えず、純粋に読み物として物語を楽しみます。
盛り上がるシーンはセッションでも同じくテンションが上がりますし、読みながら頭に浮かんだ光景やNPCの顔などは、後で準備をするときにも役立ちます。
STEP.2 内容に質問やツッコミを入れながら読む
次はGMをするときを意識して読んでみます。
場合によってはSTEP1と2を同時に行う事もありますが、シナリオの内容に対して「?」と思ったことをチェックしていくイメージです。
- 読めない単語、意味の分からない言葉
- 文章からでは光景がイメージできない描写
- 文章からでは処理方法がよくわからない指示 など
読めない単語、意味の分からない言葉
ものすごくあるあるです…。
特にボイスセッションでは、描写を読み上げている途中に読めない漢字や英単語が出てきて、セッションを一瞬止めてしまうこと、よくあります。
その時に調べても全く構わないんですが、事前に分かっていればスマートに描写できます!
読み仮名を振ったり、意味の分からない単語は調べておくとセッション中はとっても楽です。

えーと、「冒涜」…「悍ましい」…

何のTRPGで遊ぼうとしてるかよくわかるなぁ
文章からでは光景がイメージできない描写
シナリオはほぼ文字情報だけなので、読んでもシーンが上手く浮かばなかったり、意味が理解できないこともあります。
GMが上手く理解できなかった描写は、そのまま読んでもPLも理解できません。
そういう時はシナリオと食い違いがない範囲で自分なりに「こういうことかな?」と解釈します。
必要があれば描写の言い回しを変えたり、補足説明を入れたりします。
文章からでは処理方法がよくわからない指示
TRPGは自由に物語を作ることができる遊びなので、シナリオでは想定していない流れになることももちろんあります。
「『Aの場合はこう処理する』と指示があるけど、Bの場合はどうするのか書いていないな」
「『全員ダイスを振る』と書いてあるけど、このシーンにいないPCはどうするんだろう?」
など
シナリオに記載されている指示ではカバーできないと感じた場合、
「こういう展開になったらこういう処理にしよう」と自分なりの用意をしておくとスムーズです。
STEP.3 PLになったつもりで浮かんだ疑問や感情をチェックしながら読む
今度はPLになったつもりで読んでみます。
以前PLとして遊んだことがあるシナリオなら、ここは省いてもいいかもしれません。
「自分のキャラクターだったらこういう状況でどんな行動をとるかな、どんな気持ちになるかな」とイメージしながら読みます。
もしそこで疑問が湧いたり、取ろうとした行動に対してシナリオに記載がない場合は、セッションでもPLに同じことを聞かれる可能性が高いのであらかじめ対応を考えておくと良いでしょう。
STEP2や3は、セッション回数が少ないと想像するのが難しいこともあります。
でもご安心ください。
どんなに準備したつもりでも、当日思いもよらない展開になるのがTRPGです!
「完璧な準備」はほぼ無理です!(そこが楽しい)
そういう時は焦らず、その場で一番いいと思う方法を考えてみてください。
GMがすべてを判断する必要はないので、PLと相談して決めても楽しいですよ。
準備編② オンラインセッションツールの準備
オンラインセッションの場合は、使用するツールを遊ぶシステムやシナリオに合わせてセッティングする必要があります。

なんか機能がたくさんあって難しそうだな…

全部の機能を使う必要はないし、
複雑なことをしなくても大丈夫だよ
ここではオンラインセッションツールの「ココフォリア」を使う場合について解説します。
とはいえ実は、公式でとても分かりやすいチュートリアルが用意されています!
操作方法はこちらを見ていただくとして、ここではそれぞれの機能の使いどころを簡単にご説明します。
ココフォリアの基本的な機能と使いどころ

前景・背景

画像の、写真がくっきりしているところが「前景」
ぼかしがかかっているところが「背景」だよ
前景も背景も、基本的にはその場面をイメージさせるような画像を表示させます。
例)公園のシーンなので「公園」の写真を表示させるなど
前景と背景は別々の画像を表示させることもできます。
マイキャラクター
マイキャラクターはPCやNPCのコマを表示させたり、ステータスを管理するときに使います。
ステータスがあるNPCや、イラストに差分があるNPCなどに使用すると便利です。

PLの時は、作るコマはたいてい1つだったな

シナリオによるけど
GMのマイキャラクター一覧はだいぶにぎやかになるね
シーン
場面が変わったり雰囲気が変わったとき、いちいち前景やBGMを選びなおしていると大変ですよね。
「シーン」はそういった情報をセットで登録しておく事ができます。
例えば「公園でほのぼの」している場面から「廃墟でモンスターに襲われる」場面にも、シーンを作っておくと1クリックで切り替えられます!
スクリーンパネル

シーンが変わってもずっと表示させておきたい画像は、スクリーンパネルで表示させると便利です。
例)MAP、重要なアイテムの画像など
右クリックでいつでも表示・非表示を切り替えられます。
シナリオテキスト
大事な情報や長いセリフがあるとき、毎回手打ちしたりシナリオデータからコピペするのは大変です。
シナリオテキストに登録しておくと、選んでクリックするだけで送信できます。
カットイン
ワンポイント的に表示させたい画像や音があるときに使います。
登録しておくと、選んでクリックするだけで画像が表示されたり音が出ます。
画像の場合は画面いっぱいに出るので、インパクトを出したいときに向いています。
音の場合はBGMとは別に鳴るので、SE(効果音)やジングル(短い音楽)を鳴らしたいときに向いています。
BGM
雰囲気を演出したいとき、BGMの力は大きいです!
GMの狙った雰囲気になるよう、お気に入りのBGMを流しましょう。
「BGM1」「BGM2」と別々に設定して同時に流すこともできるので、
「BGM1でゆったりしたBGMを流しながら、BGM2で川のせせらぎの音を流す」といった組み合わせも可能です。
ココフォリアには他にも様々な機能が備わっています。
慣れてきたら使ってみるとセッションがより豪華になります。
ただ「どこまでルーム作りをこだわりたいか」は人の好みの世界です。
絵やBGMがなかったとしても、ダイスが振れればTRPGは十分遊べます!
自分が負担に感じない範囲でルーム作りを楽しんでください♪
テストプレイをしよう
シナリオやルームの準備ができたら、実際にセッションするつもりでテストプレイをしてみましょう。
- PCとしてサンプルキャラクターを置き、ダイスを振ってみる
- 描写を読み上げてみる(ボイスセッションの場合)
- シナリオの進行に合わせてセッションツールを動かしてみる
やってみると、読んだだけでは気づかなかった発見があります。

完璧だと思ったのに、まだ読めない漢字があったー!

この判定、意外と成功させるの難しいんだな…
当日編
準備を整えてココフォリアのURLをPLに伝えたら、当日はみんなで楽しむだけです!
用意やセッションの流れなどについては基本的にPL編と共通ですが、
PLの時にしてもらったことを、今度はGMとしてやることになります。
想定外のことをPLに聞かれたり、提案された時は思わず慌てるかもしれません。
アドリブで対応するのが難しそうなときは正直に、
「シナリオに書いていないので、ちょっと分からないです」
「対応が難しいので、今回はその行動はナシでお願いします」
などと伝えても大丈夫です。
「完璧なGM」は目指さず、みんなで楽しく物語を作り上げることを目指しましょう♪
まとめ:準備をしっかりやったら、当日はPLと一緒に楽しもう!
「やることが多いなぁ」と思った方もいるでしょうか?
もちろん全てをやる必要はありません!自分にとって必要だと思った準備だけをやってみてください。
そしてせっかく時間をかけて準備したシナリオやルームは、ぜひいろんなPLに披露してください♪
同じシナリオでも、PLが違えばガラリと印象が変わるので面白いですよ。
その違いを楽しめるのもGMの特権です。
また「GMを経験しているPL」はGMの気持ちがわかるので、セッションでも盛り上げ上手になったり、GMをサポートする動きができるようになり、GMにも頼りにされます!
この記事がGMをやってみる後押しになれば嬉しいです♪
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